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【 声明 】2020年1月9日  東京から都立直営病院をなくすな!

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【 声明 】

2020年1月9日
東京から都立直営病院をなくすな!

小池知事は都立・公社病院の地方独立行政法人化と 「あらたな病院運営改革ビジョン (素案)」を撤回し、都立病院を直営で充実し、公社病院を都立病院にもどすことを求めます

都立病院の充実を求める連絡会

小池都知事は2019年12月3日の第4回定例都議会の所信表明で、突然14の都立・公社病院の地方独立行政法人化(以下独法化)の移行の準備を表明、12月25日病院経営本部は「新たな病院運営改革ビジョン(素案)」(以下「ビジョン」)を発表し、パブリックコメントを行い2020年第1回定例都議会の論議を経て3月中に決定する意向を明らかにしました。
小池知事の独断的で一方的な表明と「ビジョン」の内容について、到底容認することはできません。「都立病院の充実を求める連絡会」の見解を明らかにするものです。

自ら決めた都立病院の運営形態の検証をせず、独法化への知事発言

そもそも2018年3月に東京都が発表した「都立病院新改革実行プラン2018」では、メリット・デメリットなど都立病院の運営形態を踏まえた検証を行い、経営形態のあり方を本計画期間中(6年間)に検討を進めるとしていたものです。この間、東京都は、都議会、厚生委員会、ましてや都民に検証内容を発表していません。経営形態だけの検証は問題があります。が自ら決めた検証も行わず、突然、一方的に知事が発表するやり方は許すことができません。
12月10日付の都政新報社説でも「このタイミングの表明が改革の実績づくりだとすれば、『自分ファースト』との批判は免れない」「経営形態の変更ありきでなく、公共が担う医療の維持と経営改善を果たすため、どのような仕組みが必要か、地に足のついた議論が必要なことは言うまでもない。知事選を横目に見て拙速に結論を出すとすれば言語道断だ」と指摘しています。
小池知事が広く都民や医用関係者と、都民のいのちと健康、都立病院のあり方の検討を行なわず、一方的に都立・公社病院の「独法化」を表明し、強引に進めようとしていることに強く抗議し、「独法化」「ビジョン」撤回し、広く都民参加の検討を求めます。

国の「新公立病院改革ガイドライン」に従った、東京都の「ビジョン」

「ビジョン」が目指す今回の「改革」は、石原都政の「都立病院改革」による、都立病院の公社化、独法化、3小児病院の廃止などを進めた流れの継承であり、国が2015年に策定した「新公立病院改革ガイドライン」に従った「改革」です。
この「新公立病院改革ガイドライン」は、「地域医療構想」「公的医療機関等2025プラン」と共に、安倍内閣が、医療費削減、病床削減、病院統廃合を目指した医療改悪と一体のものです。
昨年9月26日に厚労省が424の「公立・公的病院再編・統合」が必要な病院名を公表しましたが、全国の自治体、病院関係者、利用者・患者、住民から猛反発を受け、撤回が求められています。
東京でも都立神経病院や、町立八丈病院、奥多摩病院など10病院が公表されましたが、
いずれの病院も住民・患者にとってなくてはならない病院であり、撤回を求めています。「ビジョン」が示す都立・公社病院の「独法化」はこの攻撃と機を一にするものであり、都民のねがいを裏切るものです。

「地方独立行政法人化ありき」で、検証に値しない「ビジョン」の内容

「ビジョン」は、都立病院の新たな改革を扱っているように見えますが、運営改革と記載しているように、第3章の経営形態の内容が中心です。小池知事が発表した後の、後づけの「検証」です。
その比較も、地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人、指定管理者制度の3つに絞り、現行の経営形態(地方公営企業法一部適用)を外しています。最初から現在の経営形態との比較を考えていないのです。
第2章で検証したといっていますが、2章では、都立病院の直面する課題をあげ、問題点をあげているだけです。
3つの経営形態の比較でも、「独立行政法人」はメリットのみを掲げ、デメリットの検証は一切行われていません。これが公正な検証といえるでしょうか。検証に値しない一方的な「独法化ありき」の内容になっています。

保健医療公社病院は都立直営にもどしてこそ役割が発揮される

今回の「ビジョン」で初めて東京都保健医療公社を「独法化」する内容が示されました。 そもそも公社病院は、都民の強い都立病院の建設要求を鈴木都政が、「減量経営」による方式として直営によらない公社方式を採用したものです。その後、石原都政の「都立病院改革」で、都民の反対を押し切って都立病院の荏原病院、豊島病院、大久保病院、多摩北部医療センターを公社化したものです。
なぜ公社病院の「独法化」が必要なのかの展開では、「ビジョン」は「独法化」で示したメリットを一方的に強調しているのが大部分で、都立病院との一体化でスケールメリットがあるというのが唯一の理由となっています。
公社病院は、将来計画として「第四次中期計画(2018~2023年度)」が2018年3月に発表されていますが、「独法化」の方針はありません。又、国が出した「公的医療機関等2025プラン」でも、公社病院を含む公的病院の「独法化」の指示は出ていません。小池知事が独自の判断で「独法化」を発表したわけで、国がすすめている、公的病院の「独法化」、「再編・統合」に先鞭をつけたことになります。その責任は重大です
公社病院は、地域医療支援病院として地域医療の核としての役割と、不採算部門の行政的医療を提供していますが、その経営は厳しく、非稼働病床の返上や、人件費抑制策が進められています。都民の求める医療を充実させるためには、公社病院は「独法化」ではなく都立直営にもどしてこそ役割を発揮することができます。

地方独立行政法人化は都立病院にふさわしくない制度

「ビジョン」は都立病院の経営形態のみを比較し「独法化」がふさわしい形態と結論づけていますが、都民の医療を守り発展させる都立病院の役割、民主的運営、病院経営など全体から見て、「独法化」は都立病院に最もふさわしくない制度です。

〇 地方独立行政法人は公的部門の民営化の手法の一つであり、その第一歩

地方独立行政法人化は 「独立採算」が厳しく求められ、全国では、病院の統廃合や患者負担増が次々と行われています。
先に東京都で「独法化」された健康長寿医療センターでは、病床が削減され、それまで原則なかった有料個室は病床の25%を占め、最高2万6千円の差額ベット料が求められ、そこに入院する際には10万円の保証金が必要です。患者や利用者の負担が増大しています。このようなやり方は都立の病院にふさわしいのでしょうか。

〇 「独法化」すれば都立病院の役割である行政的医療は不安定となり、都民への医療が   後退に

「ビジョン」では「独法化」でも「都立病院としての安定的かつ継続的に果たすこと」を記載していますが、果たして「独法化」されても、「一般会計からの繰入金」は保証されるのでしょうか?
都立病院の役割である行政的医療は「一般会計からの繰入金(378億円〈2018年度決算〉)」で保証され、不可欠な財源です。東京都も赤字でなく、必要な財源と認めています。これは都の予算の0.5%でしかありません。しかし「独法化」された国立病院機構では、一般会計からの運営交付金は年々削減され、2009年75億円あった診療事業費は2012年ゼロになり、病床数も5千床以上削減されました。又、不採算の診療科・病棟の廃止が進んでいます。
先に「独法化」された健康長寿医療センターでも運営費交付金が削減されています。
私たちの調査では全国の公立病院と独法化された病院894病院の中で、安定した黒字経営を進めているベスト10の内、9つは公立病院、「独法化」病院は1つだけでした(2016年度)。「独法化」すれば病院の経営改善が進み、安定化するというのは虚構ではないでしょうか。

〇 安定的な医療人材確保が難しくなり、医療サービスが低下に

「ビジョン」は「独法化」されれば、柔軟な人事給与制度や人材交流、柔軟な勤務形態などが行われ、安定的かつ柔軟な医療人材の確保ができると強調しています。
しかし、「独法化」された全国の病院・大学・ 研究所では、非常勤・臨時・派遣職員が増へ、人事制度では年俸制・任期制、複線的人事制度などが導入され、一部の職員は優遇されるが、大部分の職員は賃金と労働条件の切り下げ、雇用の不安定化にさらされています。これが「独法化」された病院の現実です。現在の都立病院でも医師、看護師、コメディカルの職員採用は厳しい状況が続いています。かつて都立病院が公社化されたとき、医師・看護師等の退職や転職が続出し、混乱が長く続いた経験があります。 「独法化」で必要な職員確保できず、結果として都民への医療サー ビス低下を招くことになります。

〇 非公務員型独立行政法人化は、法人が設立した日から都の職員(公務員)の身分が剥  奪

東京都が導入しようとしている「独法化」が非公務員型です。法人が設立した日から都の職員の身分は剥奪され民間人となるのです。病院から公務員が消えます。都立病院だけでも7000人になります。
都立の病院事業は、都政の中でも最も公務にふさわしい職場です。患者への対応をはじめ、今後強化される地域医療との連携、多発する、豪雨、台風、地震などの大規模災害対応で都立病院に公務員がいなくなることがどんな結果になるのか、最近の災害対応でも明らかです。
〇 「独法化」では、都民と都議会の監督機能やチェック機能がほとんどなくなり、都民要求の反映が困難に

公社病院の運営について都議会、厚生委員会で定期的に報告され、議論が行われているでしょうか。ほとんど皆無です。「独法化」では益々、都民から遠い存在になることは明らかです。
「ビジョン」では14の病院を一体的に運営する一大規模の「地方独立行政法人東京都病院機構(仮称)を設立するとしています。
多くの地方独立行政法人では、役員が理事長1名、理事、監事の5人内外の少人数で構成され、トップダウンで運営されています。14の病院、1万人内外の職員を、少人数で、トップダウンで、 そして議会や都民からチェック機能がほとんどない運営とは、都民と職員の声を受け止め、独断専行にならない保証はあるのでしょうか。
現在、都立病院が持っている各病院の特徴を受け止め、その機能を十分発揮できる組織となるでしょうか。

〇 「独法化」しなくても、都立直営病院で予算・人事・給与など柔軟な運営は可能

「ビジョン」は現行の都立病院の運営は予算・人事・給与など「制度的な制約」があり「独法化」の選択の最大の理由にしています。
しかし、現行制度でも年度途中に補正予算を組むことも、「繰越明許」制度など年度をまたぐ財政運営も可能です。人員についても総務局には「保留定数」があり年度途中でも増員することができます。さらに医療関係の採用でも病院経営本部が「11職種」の独自採用権限を人事委員会から委任されています。
このように現行制度でも柔軟な運営が可能になっているにもかかわらず、これには目をつぶり、「独法化」を主張する理由にはなりません。

以上述べてきた通り、地方独立行政法人化は都立・公社病院にとっては最もふさわしくない制度です。さらに、都立・公社病院の地方独立行政法人化は、安倍内閣の公立・公的病院の「再編・統合」に手を貸し先鞭をつけるものです。
小池知事は都立・公社病院の地方独立行政法人化と「あらたな病院運営改革 ビジョン(素案)」を撤回し、都立病院を直営で充実し、公社病院を都立病院にもどすことを求めます。
合わせて、東京と全国で反対の声が広がっている公立・公的病院の「再編・統合」の撤回を東京都知事として行うよう求めるものです。
「都立病院の充実を求める連絡会」は都民のいのちと健康、福祉や暮らしと直結した「都民によりそう都立病院(5つの提案)」(2019年10月19日発表)を都立直営で進めることを発表しています。これこそ、明日都立病院の充実を実現できる提案です。

都民のいのちと福祉、くらしを第一にする都政の転換を

小池都政の都立・公社病院の地方独立行政法人化は、地方自治の変質を推し進め、都民のいのちを守り、福祉の増進をはかる地方自治体の責務を放棄するものです。
「都立病院の充実を求める連絡会」は憲法25条に基づく、いのちと福祉、くらしを第一とする都政の転換を求めて、都民と共に運動を進めていきます。

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