独法解説

Q. なぜ都立病院を地方独立行政法人化しようとするのですか?

A. 都民のための仕事をする予算を減らすためです

地方独立行政法人とは、それまで東京都が運営してきた病院を都から切りはなし、独立採算にしていくものです。都立病院は、災害や感染症への対応、周産期・障害者や高齢者、難病の対応などのために、お金もうけにならない分野の医療(「行政医療」と言われます)も提供し、このため都の予算から年間約400億円を負担して都民のための仕事を支えてきました(「繰り入れ」といいます)独立法人になれば、この予算は減らされ、都民のための仕事もできなくなっていくおそれがあります。

Q. 独立行政法人になると経営が効率化されてサービスアップにつながるのですか?

A. まったくそんなことはありません。

工場などでは、機械化で人手を減らせば効率化できるかも知れませんが、人の生命に関わる医療では、最新鋭の機械を入れても、医師・看護師・検査技師などの人手を減らすことはできません。むしろ人手を減らせば、医療に支障がでることになるでしょう。先行して独立法人化された健康長寿医療センターでも、都が直接運営していた時代に比べて、効率化がすすんだとは言えません。

Q. 都の運営する病院と地方独立行政法人の病院とはどこが違うのですか?

A. 地方独立行政法人になれば、独立採算と経営効率化を求められ、料金(健康保険制度外)の変更なども議会の審議なしに行われます。

そのため採算を重視しようとして料金値上げも起きた例がありますし、赤字が蓄積すると民間への売却や事業の廃止の可能性もあります。いつ起こるかわからない災害や新型インフルエンザなどの感染症に備えるには、人的にも充実した体制で、安定して医療を継続できなければなりません。地方独立行政法人は都立病院の経営形態としてはふさわしくありません。