独法化(地方独立行政法人化)とは、これまで東京都が運営してきた病院を都から切りはなし、独立採算にする施策なんじゃ。都立病院は、災害や感染症への対応、周産期・障害者や高齢者、難病の対応などのために、お金もうけにならない分野の医療(「行政医療」と言われておるぞ)も提供しておる。
都民を守る医療のために必要な予算として、年間約400億円(平成28年度実績)の繰り入れが必要なんじゃ。
じゃが、独法化されればこの予算は減らされ、都民を守る医療が危機的な状況に陥る恐れがあるんじゃよ。
先行して独法化した病院では、料金(健康保険制度外)の変更なども議会の審議なしに行われ、採算性重視から料金値上げが起きた例もある。また、赤字が蓄積すると民間への売却や事業の廃止の可能性もあるんじゃ。いつ起こるかわからん災害や新型インフルエンザなどの感染症に備えるには、採算性よりも充実した体制づくりが必須であり、安定した医療の継続が求められる。独立行政法人は都民の命を守る経営形態としてはふさわしくないのう。
工場などでは、機械化で人手を減らせば効率化できるかも知れんが、人の生命に関わる医療では、最新鋭の機械を入れても、医師・看護師・検査技師などの人手を減らすことはできん。むしろ人手を減らせば、医療に支障がでてしまう。
先行して独法化された健康長寿医療センターでは、人手不足や時間外業務が増え、決して効率化がすすんだとは言えない状況なんじゃ。
単年度ごとの予算・決算が議会で審議されるという仕組みではなくなり、都知事や理事者の独断的運営が進み、腐敗や汚職の温床になりかねん。中期目標、中期計画の押しつけなど、採算第一主義の徹底で住民軽視が進み、人員削減など医療事故と背中合わせの職場実態が一層深刻になる危険があるのじゃ。
採算性を重視した医療にシフトするということで、不採算部門等の切り捨てが行われ、行政とは切り離して別の法人ができるわけじゃから、保健・福祉・医療を一体にした町づくりがいっそう困難になる危険もあるぞ。
採算性優先の運営で、差額ベッドをはじめ保険外負担の拡大や、診療報酬制度のもとで早期退院の強制などが一層強められ、病院がますます都民にとって遠い存在になる可能性があるんじゃ。地方公営企業法では、原則として公共性の原則と経済性の追求というのがうたわれておるが、独立行政法人法では、経済性の原則だけで、公共性の原則は消えている。
自治体こそが最後の砦となって住民に必要な医療を提供する役割が求められておるが、独立行政法人化はそうした自治体の公的責任を縮小、放棄するものなんじゃよ。